02.『蒲地清爾銅夢12話』
02.『蒲地清爾銅夢12話』
蒲地清爾さんが『月刊美術』(サンアート)第268~279号に連載した12篇のエッセーと12点の銅版画で構成された『銅夢12話』は、1999年7月、著者自身によって1000部限定で出版されました。著者から署名入りの本書を贈られた時、真っ先に頭に浮かんだのが、本書掲載のオリジナル版画を入れた画文集を出版したいということでした。
蒲地さんにこの企画をお話ししたところ、快く承諾していただきました。ところが数日後になって、「私の本を買う人はいないので、江副さんに迷惑をかけることになるから、やはり出版は取りやめたい」という連絡が来ました。私は必死に説得しましたが、残念ながら出版は実現しませんでした。
しかしその代わりに3部だけ作ろうということになり、2部を蒲地さんが、1部を版元の私が所蔵する「非売品」として制作しました。製本は蒲地さんの友人の遠藤博さんにお願いしました。黒山羊革総革装の表紙には蒲地さんが銀板に彫った書名と銅夢版画工房のロゴが貼り付けられていて、渋く輝いています。
私が所蔵する本書は、蒲地さんが描いた図案の布を貼った夫婦函に収められています。
収録作品
- “陰”を描く芸術家の孤独:闇の来歴
- エロスの毒杯:逸楽の冥府
- 真理の探究:幻視の窓
- 豊かな死への成熟:生と死の秘樹
- 無意識下の力:Shadow
- 出逢いの神秘:契約
- 芸術という“夢”:時空の麻利亜
- 「SEIJI、死んでいくようだょー。」:予感
- 孤独な魂との交感:王の椅子
- 最もカッコ悪いこと:対峙の森
- 有るがままの自分であること:輝く夜
- かけがえなき人生:終焉
仕様
- 大きさ:AB4判変形、36.0×25.2cm
- 装幀:総黒山羊革装
- レイアウト:中村利夫
- 製本:遠藤博
- 製函(版元版のみ):北見俊一
- 発行部数:限定3部、非売品
- 発行日:2010年3月20日
在庫状況
非売品