2021年7月、私は久しぶりに神戸に行き、アルフォンス イノウエさんのアトリエを訪ねました。前年始めから、新型コロナが世界を席巻し、わが国でも緊急事態宣言が発令され、自由な外出が制限されていました。そのような中で、少し流行が収まったかに見えたこの日、神戸を訪れたわけです。このようなステイホームの状況の中アルフォンスさんは、銅版画や蔵書票制作のために描いていたエスキース(下絵)を整理されていました。「作品が完成した後に残ったエスキースのうち、乱雑に描いたエスキースは破棄したものが多く、残っていて丁寧に描いたエスキースは作品総数の裡、僅か5、60点余りだった」ということです。これらのほか、銅版画作品にするつもりで着手しなかったエスキースもかなり残っていたようです。整理されたエスキースを拝見し、その美しさに大変感動したのは言うまでもありません。それらは銅版画として完成する前の作家のイマジネーションがその画面から溢れていました。私はそれらのエスキースと完成した作品を並べて見ることにより、エスキースから銅版画作品に至る作家の制作過程を想像することができるのではないかと思いました。そこでこれらのエスキースと作品を併置した画集の出版を、即座にアルフォンスさんに提案したところ、快く承諾していただきました。

このようにして企画した新たな画集は、今回も3種類の出版を計画しています。すなわち、A版(特装版)、B版(普及版)そしてC版(未綴じ版)です。出版案内をご希望の方は、レイミア プレスまでメールでご連絡下さい。メールアドレスは、 lamia_press@yahoo.co.jp  です。皆様からのご連絡をお待ちいたしております。

レイミア プレス 江副章之介