愛書に貼ってこそ蔵書票

愛書に貼ってこそ蔵書票

江副章之介さんが育った長崎県島原市の家は、そのお隣が本屋さんだった。物心ついた頃から書店で過ごし、『少年』や『少年クラブ』などの雑誌や宮沢賢治の本を読みふける彼は、大層な本好きへと成長した。
30代の時、「蔵書票」という美術世界を知る。図案の中に依頼主の名前とお好みのモチーフが盛り込まれた小版画だ。日本では古来、蔵書印が使われてきたが、欧米では本の所蔵者を示すのに、お名前カードともいうべきこの蔵書票を本に貼ることが行われた。 (さらに…)