私が敬愛するアルフォンス イノウエさんは、昨年来癌の治療を受けておられましたが、薬石効なく、6月28日にお亡くなりになりました。84歳でした。

私がアルフォンスさんに親しくして頂いたのは、1995年発生した阪神・淡路大震災後のことです。震災に遭われたアルフォンスさんの支援のために、つくし館主宰の山口博男さんが蔵書票票主の募集を企画し、私がそれに応募したことから始まり、今日まで30年間のお付き合いとなりました。この間幾度となくお便りを頂き、神戸のアトリエをお訪ねしました。お会いするといつも静かで穏やかで優しくお話の相手をして頂きました。テーブルの上にはいつもコーヒーとケーキがあり、気が付きと5,6時間も話に夢中になっていました。このようなアルフォンスさんにもうお会いできないのかと思うと、胸が張り裂けそうです。3月15日にお会いしたのが最後となりましたが、『満潮』や『女友達』の出版のお話をしましたが、その出版も残念ながら永遠に不可能となりました。

今後はアトリエに残された作品、コレクション、蔵書などの整理の後、追悼展、コレクション展などが開催されることでしょう。

さようなら、アルフォンスさん。30年間親しくお付き合い下さり、誠に有り難うございました。

心からご冥福をお祈り申し上げます。

2025年8月                                レイミア プレス 江副章之介