『わが密室を彩る画家たち』
山本芳樹さんを神戸の自宅にお訪ねしたのは2003年頃だったでしょうか、今となっては定かではありません。神戸元町の海文堂で著名人の色紙の中に山本さんの色紙を見つけ、会いたい気持ちが湧いてきました。事前に訪問日時をお知らせしていましたので、お訪ねした時にはもちろん在宅されていましたが、「病院から抜け出してきました」と平然と話されたのには驚きました。当時入院中だったのです。書斎の二面にはびっしりと本で埋まった大きな本立てがあり、テーブルの上にも本が山のように積まれていました。イリナ イオネスコの撮影と思われる、山本さんとほぼ同じ大きさの写真が立てかけられているのが目を引きました。山本さんの厖大なバイロスのコレクションを拝見するのが目的の一つでしたが、少し前に兵庫県立美術館に全て寄贈されたということで、残念ながら残っていませんでした。しかし書斎で長時間お話ししてしまいました。後日、お願いしていた筆書きの識語と署名紙が届きました。
本書にバイロスの記述があることからバイロスの蔵書票を入手し、該当ページと山本さんの写真付き略歴ページに綴じ込んでもらいました。この他、識語と署名紙の前には坂東壯一さんの蔵書票も綴じ込んでもらっています。緑のカーフ革の平に本の内容にマッチした長い髪の女性が黒の山羊革で装幀された本書を見たら、山本さんはきっと喜んでくれたことと思います。
ところで不思議なことに、本書の奥付には白い紙が貼られていて、具体的な出版内容を知ることが出来ないようになっています。しかしインターネットで検索し、奥付内容を知ることが出来ました。
原本書誌
・著者:山本芳樹
・装幀 & レイアウト:畑本久幸
・写真撮影:名和秀樹
・発行所:中外書房
・サイズ:h210×w210mm
・出版年:1979年