『季刊 R*』 第1号~第8号

『R*』は鹿鳴荘から出版された全ページ和紙に活版刷りした文集で、各号設定されたテーマに沿って多くの作家や詩人が寄稿し、版画家はオリジナル版画を提供している100部限定の冊子です。第1号から第8号までのテーマは、それぞれ「身体」「薔薇」「椅子」「天体」「顔」「草」「山」「海」です。私の場合第2号からの定期購読だったため、第1号だけがエディション番号が異なっています。私は若いころ山登りをやっていたこともあり、8点の版画の中では畦地梅太郎さんや大谷一良さんの木版画が気に入っています。それとこの8冊を入れる函が版元から出ることになっていましたが、なかなか出ないのでしびれを切らして近藤理恵さんに合本してもらいました。濃い緑の革と同系色のクロスが交差する表紙と綴じ糸が外から見える造りを大変面白いと思いました。近藤さんは「将来別の形で製本できるように、本体を出来るだけ原状に近い形で製本しました」と、今後のことまで考慮した本造りに感動しました。

この文集は天がアンカットとなっているため、実は全く文章を読んでいないのです。

原本書誌
・著者と版画作家、( )は各号のテーマ、「 」は版画のタイトル:
R*1(身体);中村雄二郎、渋沢孝輔、田中清光、串田孫一、堀井英男「白のコスチューム」
R*2(薔薇);堀多恵子、伊藤海彦、田中清光、串田孫一、丹阿弥丹波子「つぼみ」
R*3(椅子);茨木のり子、田中清光、鈴木獏、串田孫一、宮下登喜雄「イスとイヌ」
R*4(天体);岸田衿子、田中清光、串田孫一、大谷一良「蒼球」
R*5(顔);中村眞一郎、飯島耕一、田中清光、串田孫一、小林ドンゲ「顔」
R*6(草);石垣りん、竹西寛子、支倉隆子、田中清光、串田孫一、渡辺達正「草」
R*7(山);鳥見迅彦、小海永二、田中清光、串田孫一、畦地梅太郎「山男」
R*8(海);吉野弘、矢内原伊作、田中清光、串田孫一、城所祥「H港」
・編集&発行者:沖一夫
・発行所:鹿鳴荘
・印刷:精興社
・サイズ:h260×w180mm
・発行部数:100部
・出版年:1983~1987年

ルリユ―ル : 近藤理恵
・仕様:半革装
・製本形態:交差式ルリュール、足付き
・綴じ:黄色の綴じ糸による交差式綴じ
・表紙:緑カーフ革、緑紬織クロス。
・デコール:交差した表紙で円カーブを描く。合本なので、中身に糊付けや耳出しをしない足付きの交差式にした。
・見返し:ノド革、装飾和紙
・はなぎれ:綴じ糸
・箔押し:近藤理恵
・サイズ:h263×w188×d33mm
・夫婦函:外布、内スウェード貼り h283×w204×d47mm
・制作年:2006年

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